シリーズ第5回は森トラスト・ホテルリート編です。
基本情報
投資関連指標
ジリジリ回復基調です。半分弱くらい戻している状況でしょうか。
主要な物件
なんといっても保有物件が5施設しかないというのが大きい特徴。
その割に時価総額は大きく、比較的集中投資している状態であると言えるでしょう。
投資比率が最も高いのは、シャングリ・ラ・ホテル東京で、ポートフォリオの38.71%を占める状態です。
説明不要のラグジュアリーホテルですね。こんなところで結婚式でもあげようものなら、格式高いものになるでしょう。(コスパがどうかは分かりませんが笑)
シャングリ・ラ・ホテル東京のRevPARは非開示なのですが、容易に想像するに数千円とか1万円とかの世界ではないでしょう。
保有物件の一つである、コートヤード・バイ・マリオット 東京ステーションのRevPARは25,633円(第8期)ですので、似たような水準のはずです。
基本的に高級ホテルしか組み入れていないです。
東京、というより都心が77.8%を占めており、都心以外では大阪と小田原に1施設ずつです。そもそも5物件しかなく、割合表示自体が意味のないものかもしれません。。。
これがすべてを集約しているかと思いますが、5施設しかなくしかも変動賃料は43.9%を占める体制。
以上より、地域分散は無視して高級ホテルに集中投資、という感じです。ある意味攻撃的な布陣だと思いますね。
外部成長戦略
スポンサーからのパイプライン、ホテル運営力でがっちりですね。
開発は森トラスト、ホテル運営は森トラストホテル&リゾーツでサポートしています。
将来的にこのリートが取得するかは全くの未定ですが、主な開発案件として紹介されているホテルに魅力的なものがあると見えます。
東京エディションは、日本一高い高層ビル(になる予定だった)あのビルの近くでしょう。
また沖縄の瀬底に構える2ホテルは個人的に超魅力的です。瀬底の海の透明度たるや凄まじいものがあり、機会があればぜひ泊まりたいと思えます。
ただ本リートがこれらを取得するとは全く書いてありません。あくまで開発プロジェクトのご紹介です。
内部成長戦略
実は、この森トラスト・ホテルリート、他のリートと異なり、「外部成長」「内部成長」という切り口で戦略を語るペーパーがありません。
結局、森トラストグループが開発、運用するホテルを保有することが戦略です、の状態なのではないかと思ってきました。
実際リートとしての戦略は財務戦略としてしか切り出されていない印象です。
考察
高級ホテルへの集中投資
保有物件数、投資エリア、時価総額などを見れば一目瞭然ですが、ハイクラスのホテルに対して集中投資しているような状態です。
都心中の都心にあるホテルですから、競争力は確かに高そうなのですが、地震やらなんやら、そういったリスクで一撃沈没の可能性は否定できません。
今後どうする
正直、私個人としては、このホテルリートを積極的に買う理由はなんだろう、と考えるレベルです。
確かに一等地の一流ホテルであることに間違いはありません。ただ森トラストの物件保有部門としての機能しかないのではないかという戦略、リスク分散のなさ、など諸々考えると何を差し置いても買わなくてはいけないリートには思えないのが正直なところです。
今後の開発案件のうち、優先交渉権でも得て新規取得すればエリアなども分散されるでしょうが、個人的には大変魅力的な沖縄県瀬底のホテルであっても、同エリアに2つも持つことが意義深いとも思えません。
かなり難しいリートとの印象です。