
借金してまで投資はしない、という線は、資産が増えるにつれて動きます。保有している株を担保にお金を借りる仕組みに関心が湧いてくるのは、投資の考え方が変わったからではなく、失敗したときに困る度合いのほうが変わったからです。手元の資金が小さかった頃は、借りるという選択肢がそもそも検討の対象に入っていませんでした。
関心が湧いてくる順番
証券担保ローンをどう使っていこうか、と考え始めたりはします。ただ、商品として眺めてみると、条件に魅力を感じにくいものもあります。大手の証券会社のほうが作り込まれているらしい、という話も聞きますが、そこを比べる手前で気になるのは、いつのまにか借りられる側に回っていたこと自体のほうです。
増やすためではない借り方
レバレッジで資産を増やしていく、という発想は当初から持っていませんでしたし、いまも持っていません。それでも戦術としては採り得るものがある気がするのは、ポートフォリオの組み立ての話としてです。少ない資金でも、レバレッジをかければ全体に対して効き目を出せる。増やすための道具というより、効かせるための道具に見えてきます。少額の投資にも意味はありますが、行き着く先では投資額の大きさそのものが強みになる。その大きさに届かない部分を借入で埋めるという発想は、理屈としては通ります。通ることと採ることは別なので、いまは眺めているだけです。
金利が低かった頃の勘定
住宅ローンも、借金と投資が同居している話です。金利が低かった時代には、ローンを抱えたまま年末調整で戻る分を吸収しつつ、資金を投資に回して資産も増やす、という選択肢が有効だったのだろうと思います。金利のある時代にそれがどうなっていくかは、これから見えてくる部分でしょう。ここで効いていたのは、借りる人の考え方よりも外側の条件のほうだったはずです。
困り方が変わっただけ
住宅価格もだいぶ上がっていて、それを買える層は当然います。気になるのは、夫婦のペアローンで無理をして買っている場合で、何かが起きたときに立て直す余地が小さくなりやすい。同じ額を借りていても、片方の収入が止まったときにどうなるかで、話はまるで変わります。借入が重いかどうかは借入の額だけでは決まらず、外れたときにどれだけ困るかで決まる。資産が増えて動いたのはこの部分で、投資の腕前や度胸が上がったわけではありません。借りられる状態で借りないことと、借りられないから借りないことは、外から見れば同じです。違うのは、選ばずにいるのを自分で選べているかどうかくらいなのかもしれません。
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