私も大好きな複利シミュレーションですが、投資のススメをしている記事では多くの場合、その有用性を示すために引用されています。しかし、ふと我に返ると思う所は多いかもしれません。
27年で5,000万円の資産を築くこと
私は複利シミュレーションが好きです。投資の息抜きとして、明るい未来を感じられる素晴らしいツールだと思います。自分のやっていることが将来どうなるのか、変数だらけのあまり精度の高くないものではありますが、息抜きにはもってこいのツールです。
ここで一つ考えることがありました。
5,000万円の資産を作る時、いったいどれだけの時間がかかるんだろう。
<結果>
資産運用かんたんシミュレーション|資産形成について|アセットマネジメントOne
5,000万円を作るために、月5万円の投資で何年かかるかを計算してもらいました。その答えは27年7か月とのことです。
ちなみに今回年率リターンを7%で計算しています。私がやる時は4~5%くらいでやりますが、有利な条件でとりあえずやってみました。米国株式に全資産突っ込むイメージでしょうか。
また月5万円という数字は投資界隈に溢れる強すぎる入金力ではなく、一般的に無理が無さそうなイメージの金額で入れています。年齢、当然収入によっても変わりますが、多くの方がそれなら、と思える金額は3万円とか5万円とかそんな金額感かなと思ったりした適当な数字です。
いずれにしても、この条件では5,000万円の到達には27年7か月を有します。より具体的に考えると、22歳で大学を卒業、新卒初年度から投資して50歳手前の状態になりますね。30歳で子供が生まれるような人であれば、上の子は19歳くらいで大学1年生なのかもしれません。
億り人というのが一般的になりましたが、それでも一般的な人が生涯で1億円の資産を持つというのは正直現実的ではないと思っています。私がいつも考えるのは”一般的な人”であり、人より年収が多いとか家族が多いとか少ないとかそういう人たちではありません。
投資に欠ける実生活感
こういった情報からそれは凄い、やろう!と思える人もたくさんいるかもしれません。もう忘れてしまいましたが、私も大なり小なりそんなことを思って感銘を受けたから投資を始めたんでしょう。
しかし、物事にはいろいろな見方があるのは当然で、5,000万円の資産を作るために27年”も”費やすのかとも見えます。確かに27年という歳月は膨大であり、決して身近な時間軸ではない気がします。こと投資界隈ではこの27年という数字は確実な未来というか、あまり気の遠くなる年数とは受け止められず、視線は複利の効果みたいな話に終始する傾向があるように個人的には感じています。でも、他の話題に際して27年後にこうなるという話がおいそれスムーズに「はい、そうですか」と聞けるほどの時間軸であるようには思われません。
27年もかけて5,000万円か?
という気持ちがふと湧いてきました。自分に対しての疑問でもありますが、27年も投じてたかが”5,000万円”か?という気持ちは確かにあるのです。
ちなみに、5,000万円という絶対値は決して少なくないとは思っています。現に日本の家庭の内5,000万円以上の資産を有する世帯はかなりの少数派です。しかし、27年間も苦楽を耐え忍んで、ぴちぴちの大学生が定年も意識し出す年齢でやっと5,000万円というのも時間の重みを考えればどうなんだろう?という話です。
ここから思う所はたくさんあります。27年間の人生を通じて濡れた布を絞るように毎月5万円投資しての27年間だったら?それって5,000万円と帳尻合うのだろうかとか。年収さえ高ければ、27年もかけずに5,000万円に到達したり、同じ27年でも他に支出ができて人生が濃密にならんだろうか?とか。
人それぞれ感じる所があるんだろうと思いますが、この手の話に欠如しているのは「実生活感」ではないだろうかと思うのです。毎月5万円が27年で5,000万円になるんだよ!ではなく、その27年も私は生きているんだと考えなくては、お金を増やすゲームを数式弄って可視化している以上のものにはなりません。
当たり前の帰結ではありますが、5,000万円を作ることが目的ではなく、5,000万円で何をするのかが目的なのだと思います。もちろん、FIREするため、というのも目的ではなく”手段”であろうと思います。人生って難しい。
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