S&P500の1871年からのPER推移を見てみました。PERは一般的に20倍が目安と言われているようですが、なぜそうなのかが確かめられました。
PERとは
PERとはPrice Earnings Ratioの略で、株価が1株当たり純利益(EPS:Earnings Per Share)の何倍まで買われているか、すなわち1株当たり純利益の何倍の値段が付けられているかを見る投資尺度です。現在の株価が企業の利益水準に対して割高か割安かを判断する目安として利用されます。PERの数値は、低いほうが株価は割安と判断されます。なお、1株当たり純利益は当期の予想数値を用いるのが一般的です。
一般的に利益成長の高い会社ほど、将来の収益拡大の期待が株価に織り込まれるため、PERは高くなる傾向があります。しかし、PERが何倍だから割安、割高という絶対基準はなく、業種によってPERの水準は異なりますので、同業種間、経営内容の似ている企業間での比較に用いるのが一般的です。
今回S&P500全体のPERを見ています。指数、国、業種によっても異なるため、単純に市場平均のPERに比べて個別銘柄が高いから低いからで割高、割安とは言えないと考えています。
今回は自分なりの学習であり、投資指標としてどのように用いるのかは検討が必要です。引き続き考えていきます。
1871年からのS&P500におけるPERとEPSの推移
1871年からのS&P500におけるPER(青)とEPS(赤)を並べました。
米国株はここ10年以上好調であることは指数自体の動きからも把握できますが、その裏付けとして加速度的なEPSの伸びがあると分かります。特に90年代以降から立ち上がっており、これはインターネットがもたらした高収益性だと考えられますね。
また自社株買いの影響もあるのでしょうか。昔どの程度実行されていたかは分かりませんが、もし現代に入って自社株買いが活発になったのだとすれば、そういったこともいえるのかもしれません。
大括りで見ると、PERは1990年前では10~20倍くらいのボックスで推移しますが、1990年以降は20倍以上の期間がほとんどで、平常のPERの底が切り上がったかのように見えます。
年代ごとのPER推移
1871年から2022年までの期間を20年ごと、10年ごとに区分して見てみました。
20年区切りのPER
大括りに見た時と同様で、横軸が7(1991年以降)以降で20倍以上の推移となります。平均PERが15倍以下の期間が長かったことは今では信じられませんが、現代においてはPERが15倍程度まで落ちるとだいぶ売られていると言えるのかもしれません。
「一般的にPER20倍が目安」と言われることが多いかと思いますが、なるほどこういうことなのね、ということが分かりました。
ちなみに、1871年からの総平均だとPERは16倍弱になります。しかしこう見てみると、長期データをそのまま使って16倍が適正というのはだいぶ乖離が出るだろうなと想像できます。
10年区切りのPER
より細かく10年区切りで見てみます。
こちらも横軸13(1991年)以降で20倍を超えてきます。横軸の15(2011年~2020年)は20倍になりますが、リーマンの後とコロナを含んでいることが注意でしょうか。
逆に前後の期間では30倍近くありますが、こちらもリーマンとコロナの数字があるため、直近の期間は特異な数字も込みなのかもしれません。
それでも1991年以降、PERは一段切り上がっている感は十分わかります。インターネットがいかに市場を変えたのかと思いを馳せてしまいました。
PERの目安は何倍か
一般的に米国株のPER目安は、と検索すると20倍程度だ、と出てくると思います。一般的にそういわれている、で納得できるので良いのですが、実際に見てみると確かにそうだなということで頭にも定着しそうですね。
逆に現代において市場全体のPERが10倍台まで落ちると何か大変なことが起きているのかもしれません。
PER自体は株価もそうですが、EPSによっても跳ね上がるので、全体の過熱感などの把握になるのかもしれませんが、改めて見てみると考えることがたくさんありました。
10年区切りで見ると、上がっては下がり、上がっては下がり、という傾向も見えます。景気は循環していくものですが、そういった意味でも良い時があれば悪い時もあるという市場の動きを見せてくれているようにも感じました。
こういったどうでもいい趣味の勉強をしているのですが、ネットがある時代、単純なデータ整理だけでバリューが出るほど易しくはありません。それでも基礎基本といえるような所は学んでいければなと思いました。
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